身代り肌守り

身代り肌守り

 丸亀十二聯隊、小川大尉の部下分隊長芥数雄(丸亀市塩屋町、二十八才)は日支事変、昨年九月七日・八日・九日の罷店鎮の戦に際し敵の砲弾三四尺前に落ち、為に倒れたり。しかるに夢の醒めたる如に起き上がりて見れば、我が分隊に人影はなく、ただ森戸君(仲多度郡七ヶ所村出身)と二人のみ無事なりしは不思議に絶えず。調べてみれば懐中にありし海岸寺の肌守りは真二つに割れてあり。此の御守りが身代りになってくれたのであろう、ありがたいと感謝。
 その後、交代休養で帰郷中、昭和十三年九月廿四日夜、再召集に接し、翌日、海岸寺へ再度、お守り様を受けに来詣。その折、この事実をあかされたるなり。
 時に、昭和十三年九月二十五日

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