写経奉納について
弘法大師の著作とされるものの一つに、「般若心経秘鍵」があります。弘仁九年の春、流行病があり、時の天皇は非常に心を痛められたということです。お大師さまは天皇に自ら心経一巻の写経をすることをすすめられました。
天皇は、紺紙に金泥を以って自ら書写を行い、いまだ結願に至らぬうちに、流行病が鎮まったと伝えられています。お大師さまは、「これ愚身が(自分の)戒徳にあらず、金輪(天皇の)御信力の所為なり」と、心経書写の功徳を信心することを称えておられます。
こうしたことから当寺では、皆様に写経をおすすめしています。一字一字心を込めて書写した後の、清々しさは何とも言えないものです。
平安時代に流行した如法経のように、沐浴斎戒して法華懺法(せんぽう)し、朱墨で写経するほどこだわらなくても構いません。が、できれば膠(にかわ)の入った墨汁は使わず、清水に墨をすったものを使用していただくことをおすすめします。
と言いますのは、膠は動物の骨、皮、腱、腸などを煮詰めた液で作ったものですから、清浄な祈願をこめた写経には向かないと思われるからです。
しかし、墨をすることは大変時間のかかることですし、腕も疲れます。一番大事なことは、心を込めてという点ですので、無理にこだわらずとも結構です。
写経を終えましたら、どうぞ当山に奉納してください。
当山では、宝物館内にて永代保管する、もしくは護摩の際にお焚き上げさせていただき供養いたします。ご希望の方法をお申し付けください。
屏風浦海岸寺HP